認知症に関して、「自分や家族が認知症になるかもしれない」「認知症になったら治らないのでは」「認知症の家族がいるが、この先どうなるのだろう」といった漠然とした不安を抱いている人が多いのではないでしょうか。今回は認知症への不安を解消するために、その症状や予防法、改善策、家族の取るべき対応などについてご説明していきます。
目次
まずは症状について理解しよう!
認知症は主に4つのタイプに分類されます。
→認知症の約4割を占める。初期症状は海馬損傷による記憶のインプットが失われ、進行すると大脳皮質などの萎縮により昔の記憶が失われる。
2.脳血管性
→判断力は保たれるが、記憶障害などの症状が起こる。
3.レビー小体型
→幻想や妄想などの症状。
4.前頭側頭型
→人格や習慣などの変化。
診断方法には、問診と認知機能テスト、一般的な身体検査、脳画像診断(MRI・CT)などがあります。
押さえておきたい! 治療と改善策
認知症の分類や症状により、治療と改善策が考えられます。周囲がどのように接すれば良いのか環境を整えていく事のヒントとして役立ちます。
→アルツハイマー型で処方される認知症薬による治療
2.脳血管性認知症
→慢性硬膜下血腫など、手術で改善する可能性があるものもあります。
3.BPSD治療法
→きれいな風景写真を見ることや、リラックスできる音楽を聴くことなどは、五感に良い刺激を与え、気分を和らげることができます。
認知症の予防方法
生活習慣病を予防することが、認知症予防には重要になってきます。すでに生活習慣病にかかられている場合は適切な治療を受け、そうでない場合は定期健診を受けることをおすすめします。
その他に、効果があるとされる予防方法は以下の通りです。
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 他者との交流
- 趣味など
家族の対応で知っておきたいこと
第1ステップ・・・【戸惑い・否定】
第2ステップ・・・【混乱・怒り・拒絶】
第3ステップ・・・【割り切り、あるいはあきらめ】
第4ステップ・・・【人間的・人格的理解】
身近な人が認知症にかかってしまったとき、周りの人たちは必ず戸惑い、否定したい気持ちになります。しかし時間をかけることで、人間的・人格的理解に辿り着きます。「みんなが経験することなんだ」という割り切りが大切です。
「4つの心理ステップ」についてもっと深く知りたい人はこちら↓の記事もチェック。
認知症の方やその家族が安全に生活するために工夫できることを以下にまとめました。
お薬カレンダーは初期の認知症に有効的で、薬の飲み忘れを防ぐことができます。
・伝言ボード
本人や家族の予定を書いておける伝言ボードは、家族同士のコミュニケーションに有効です。
・ネットワークカメラの設置
家屋内での本人の様子を確認できるので、家族の安心にもつながります。
・徘徊感知機器
徘徊時に備えておけば、音声で制止させて、屋内にいる家族にも知らせることができます。介護保険でレンタル可能です。
・エンディングノート
認知症になる前に準備をしておくことで、相続などの家族間の争いを未然に防ぐことにつながります。
安心できる地域支援とは?
早い段階で家族などが認知症の症状に気づいたとき、正しく把握するためにも、医療機関での受診が適切となります
また、医療や介護サービス以外にも地域とつながりを持つことで様々な支援を受けることができます。
養成講座の修了者が、認知症の方の様々な生活場面を支援します。
・認知症カフェ
地域の福祉センターなどを活用して、本人と家族の居場所づくりをサポートします。
・コミセン活動
認知症の方の過去の職業や趣味歴などを生かして参加できる活動のこと。コミュニティーセンターで行われ、活動については役所の生活関連部署に問い合わせる方法もあります。
不安解消への近道! 家族が認知症について知っておくこと まとめ
認知症の実態を知ることで、様々な理解が深まったのではないでしょうか。予防や改善ができるということを考えると、この先自分や家族が認知症になるかもしれないという不安はかなり解消されるはずです。また、現在認知症の家族がいる方の場合、自分がどのステップにいるのかをこの機会に見つめ直してみてはいかがでしょう。今の状況がたとえ苦しかったとしても、その状態が永遠に続くことは無いということを忘れないでください。