「おおらかな介護」が介護者の心を守る!

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認知症の家族にイライラさせられることってありませんか?
わたしの母は認知症で、認知症になった母とうまく接しようとすればするほどわたしはイライラして、自分が嫌になりました。母が不機嫌になるとわたしも不機嫌になり、父がうまく対応すればなんでわたしはうまくできないのだろうと悲しくなりました。
対処法がわかった今でもときどきイライラしてしまうことはあります。だけど母の気持ちを何もわかっていなかったころに比べるとだいぶ気持ちにも余裕が出てきました。母も以前より穏やかになったような気もするのです。

認知症の家族は「不安」を抱えている

認知症の家族は何故、わたしたちをイライラさせてしまうような言動をとってしまうのでしょうか。

それは、「不安」を抱えているせいなのです。

不安のために起こす言動にわたしたちがイライラすると、受け入れてもらえないように感じ、ますます不安を覚えてしまいます。
わたしたちができることは、なるべく怒らないようにゆったりとした気分で接したり、不安を忘れるくらい嬉しくなる言葉をかけてあげたりすることです。

ケース別対処法 「不安」

不安だからこそ、やってしまう言動があります。

作り話をする

欠落している記憶を埋めるために、話を作り上げてしまうことがあります。
そういうときは、否定したり咎めたりせず、話に合わせて相槌を打ってあげましょう。
※周囲にも説明し、理解を得ておくとなお良いでしょう。

何度も同じことを確認してくる

食事や薬をきちんととったかが心配で何度も確認してくることがあります。
そういうときは、食後にお皿をひとつだけ出したままにしておいて、気付かせてあげたり、小さなお菓子をあげたりすると、落ち着いてくれます。

ケース別対処法 「拒む」

行動自体が嫌な場合と、人に反発している場合があります。

通院やデイサービスを嫌がる

理由がはっきりしない場合は、単に気分の問題ということもあるので、そういうときは、「美味しいものを食べに行こう」などと外出の目的を変え、病院はついでということにしてしまいましょう。
※孫や、家族以外の人に言われると素直に応じることも多いようです。

薬を服用しない

主治医への確認のうえ、飲まない日があっても大丈夫です。8割程度口に入ればOKという感じで、柔軟に対応しましょう。
※貼り薬に変えてもらう方法もおすすめです。

お風呂に入らない

入浴手順がわからず困っている場合は、手伝ってあげましょう。どうしても無理なときは諦めるのもひとつの方法です。いずれは拒否しなくなり、入浴できるようになるので、当面は体を拭くだけで乗り切りましょう。

車の運転をやめてくれない

認知症中期なのに、免許更新時の認知機能検査を通過してしまったら、心配ですよね。
そういうときは、家族から主治医に認知症だという診断書を書いてもらい、提出すると、更新を止めることができます。

ケース別対処法 「イライラ」

イライラするのは、何も介護者だけではないということを覚えておきましょう。

不機嫌になる

思うように行かない不安や不満からいら立ち、それを家族に向けてしまうことがあります。
そういうときは、少し体の向きを変えたり、数分その場を離れたりするだけで、おさまったりすることもあります。

財布をとられたと周りを疑う

自分が置き場所を忘れたことがものとられ妄想に結びついてしまうことがあります。
そういうときは、みんなで探して、本人に見つけさせることで、安心させてあげましょう。

すぐに死にたいと言う

「死にたい」、「早く死んでおけばよかった」と言う高齢者は多いですが、本心ではありません。高齢者の口癖だと思って慣れてしまうことです。ただし、気持ちが滅入っていることの表現ではあるので、懐かしい音楽を流したり、孫・ひ孫に会わせたり、好きなことや得意なことの体験など、とにかく楽しめることを考えてあげてください。

突然殴りかかる

嫌な状況に置かれたときに、言葉にできずに手が出てしまうことがあります。
そういうときは、キレるきっかけ探しとともに、人混みなどの刺激が多い場所を避けてください。暴力が子どもに向かうときは危険です。施設入所なども検討しましょう。
※暴力行為が出やすい認知症もあります。

手に負えなくなったら家族以外の手を借りる

認知症の症状は個人差が大きいので、主治医とともに注意深く観察し、本人や周囲に危険が及ぶようなら、施設への入所を考えてください。家族だけで問題を抱え込まないで第三者へ助けを求めることも大切ですよ。

夜中に起きてウロウロする

デイサービスなどで昼間に体を動かし、体を疲れさせるのが一番です。刺激は筋力・認知機能の低下を防ぐことにもつながります。ひとりで放っておくと、中核症状もどんどん進行してしまいます。

便をもてあそぶ

排便の失敗を隠そうと便をいじることがあります。症状が進行すると、汚物と認識できなくなり、手で遊んだり、壁になすりつけたりしたりしてしまうことも。これでは、介護者側も精神的に追い詰められてしまいますよね。そういうときは、施設を利用し、ろう便をさせない環境づくりが必要です。

火の不始末

料理の手順がわからなくなり、鍋に火をかけたまま離れてしまうこともあります。
そういうときは、台所に立たせないことが一番ですが、難しい場合は施設入所を考えましょう。
※IHにするなどの防衛策もあります。

徘徊

決まった時間に玄関でウロウロするなどのサインがあれば、家族も注意しやすいですが、突然出ていく人・電車などで遠出してしまう人も中にはいるので、介護の手が足りない場合は、施設を利用した方が良いでしょう。
※バッグには連絡先がわかるものを入れ、服にも連絡先を縫いつけておくなど対策しましょう。

「おおらかな介護」が介護者の心を守る! まとめ

疲れたとき、心が折れそうなとき、自分の介護疲れを無視して頑張ろうとしてはいけません。
介護はほどほどでOKですし、頼れるものはなんでも頼っていいのです。そういうふうに考えられるようになってやっとわたしは母をきちんと見ることができるようになりました。
心に余裕ができ、おおらかな対応ができるようになって母と笑いあえるようになった今がわたしは幸せだと思うのです。

ABOUTこの記事をかいた人

元橋亜由子

年齢:28歳
認知症の母親の介護に疲れ、友人の勧めで認知症コミュニティルームに通い始める。同じ悩みを持った認知症家族との交流により母親との付き合い方が改善した。
今は認知症家族のための情報提供をするなどの活動を行っており、そうした活動を広く伝えるため執筆中。