【家族信託】家族で財産を管理する「新しい形の信託」 ②

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【家族信託】家族で財産を管理する「新しい形の信託」 ①

家族信託を行う前に整理しておきたいこと

家族信託制度では、大切な資産を信頼できる家族に託す制度なので、家族信託の利用を検討される際には、以下の3つの点を整理しておきましょう。

何のために信託契約を結ぶのか

誰に対し、どの様な利益を期待するのかを考えなければなりません。

  • 自分や家族の判断能力が低下してしまったときのため。
  • 二次相続対策のため。
  • 障がいを持つ子どものため。
  • 事業承継対策のため。  etc.

信託する財産は何か

資産の中で、どの財産を信託財産として託すかを決める必要があります。

例えば親の全財産が、実家と賃貸アパート、駐車場、定期預金だった場合、このうちのいくつかを信託財産として選択することになります。
※基本的に財産上の価値があるものであれば、信託財産とすることができます。

誰に信託するか

専門的な知識を持っているかどうかよりも、「信頼できる」、「委託者の意図を理解してくれている」といったことの方が大切です。

家族信託を行うメリット・デメリット

家族信託を行うにもメリットとデメリットがあるので見ていきましょう。

メリット

  • 後見制度に代わる柔軟な財産管理が実現できる。
  • 親の財産管理が簡単に行える。
  • 遺言書ではできないことも可能。
  • 倒産隔離機能がある。※委託者の倒産の影響を受けない。
  • 教育資金の一括贈与が1500万円まで可能。
  • 相続時の争いが軽減できる。
  • 二次相続の指定ができる。

デメリット

  • 成年後見制度や遺言でないとできないこともある。
  • 受託者の選択で揉める可能性がある。
  • 専門家への報酬が必要。
  • 高い節税効果は期待できない。
  • 遺留分侵害額請求の対象となる可能性がある。
  • 当事者は長期に亘って拘束されることになる。

 

できることが多く、成年後見制度よりも便利だと言われることもあるくらいですが、そんな家族信託でも限界があることは覚えておきましょう。

手続きの流れと費用について

家族信託の手続きの流れ

家族信託の手続きに必要な費用

家族信託の手続きに必要な費用は大きく分けて以下↓の6種類になります。

  1. 信託の設計およびコンサルティング報酬
  2. 信託契約書の作成、公正証書化のサポート報酬
  3. 公正証書化の費用
  4. 司法書士への登記報酬
  5. 登録免許税
  6. その他実費

※信託財産の内容によって、費用は変わってきます。

〈信託財産が3000万円の場合(自宅および金銭)〉

  1. 30万円(税抜)
  2. 15万円(税抜)
  3. 3万円
  4. 10万円(税抜)
  5. 7万5000円 ※信託する土地の固定資産税評価額が2500万円の場合。
  6. 5000円

合計 約66万円

【家族信託】家族で財産を管理する「新しい形の信託」 まとめ

家族間だけで完結するようにも思える家族信託ですが、実は弁護士に相談・依頼をした方がスムーズな相続や財産継承が行えます。
家族信託はまだ始まったばかりの制度なので、知識が少ない人の方が多いでしょう。知識が十分でないままで契約内容を決定することは非常に危険なことです。周りの状況などによって柔軟な設計が求められます。実務経験豊富な弁護士などの専門家に手伝ってもらいながら慎重に進めてください。

ABOUTこの記事をかいた人

元橋亜由子

年齢:28歳
認知症の母親の介護に疲れ、友人の勧めで認知症コミュニティルームに通い始める。同じ悩みを持った認知症家族との交流により母親との付き合い方が改善した。
今は認知症家族のための情報提供をするなどの活動を行っており、そうした活動を広く伝えるため執筆中。