皆さん、介護保険料はきちんと納めていますか?
介護保険制度が作られた際に、保険料の未納防止と収納率アップのための方法が検討された経緯のおかげで、保険料の未納・滞納は割と起こりにくくなっています。
しかし、近年65歳以上の高齢者は増加、介護保険料も大幅に引き上げられてきたため、滞納者がゼロというわけにはいかないようです。
この記事では保険料を滞納することで課されるペナルティと滞納を回避するための方法について述べていきます。
目次
滞納した場合のペナルティ
65歳以上の場合、滞納している期間によってペナルティの内容が異なってきます。本項では「1年以上1年半未満」、「1年半以上2年未満」、「2年以上」の3段階に分けて説明します。
1年以上1年半未満
介護保険サービスを受けたときの利用料の支払い方法が変わります。滞納がないときは、サービス料の1割(収入によっては2割)を支払うことで介護サービスを受けられましたが、全額を支払わなければ介護サービスは受けられません。
通常は現物給付である介護サービス料が償還払いに代わってしまうのです。
☆ 注意 ☆
支払いが全額完了しても、全額負担の9割は2か月以上経過しないと戻ってきません。
※例外として、介護保険サービスが適用される住宅改修の費用は滞納がなくても償還払いとなります。
1年半以上2年未満
償還払いされる金額から滞納した介護保険料が徴収されてしまい、一部もしくは全額が差し止めとなり、戻ってこなくなります。このため、必要な介護サービスの利用に支障が出る可能性があります。
2年以上
ここまでくると、時効となってしまうものが出てきてしまい、支払える余裕があったとしても、滞納した介護保険料は支払えなくなってしまいます。それだけでなく自己負担額は3割に引き上げられます。滞納期間に応じて3割負担でしか介護サービスを受けられません。その期間は、居住費(滞在費)や食費が減額されたり、高額介護サービス費の払い戻しが受けられなくなったりする場合があります。
※最悪の場合、財産を差し押さえられて滞納保険料に充当される可能性もあります。
〈2年以上の滞納をしてしまったAさんのケース〉
40~64歳の場合
健康保険の保険料のなかに介護保険料が含まれています。滞納すると、例えば会社員や公務員の場合、介護保険料の支払いで受けられるいろいろな給付が差し止められてしまいます。
滞納を回避するための方法
介護保険料の支払いが難しいとなったときに必要なのは早めの相談です。経済的な理由で支払いが厳しいときは以下↓の方法があります。
市町村の介護保険の担当窓口に相談
一定の要件に該当すると介護保険料の減免措置を受けられます。これにより滞納にならず、今までと同じ条件で介護サービスを利用できます。
生活保護の申請
介護保険だけでなく生活そのものが経済的に厳しい場合には、生活保護の申請を行ってください。
生活保護が受けられるようになると、介護保険料分が上乗せされて支給されます。
知っておくと便利な知識
介護保険を理解するために必要な用語をいくつかご紹介します。
償還払い
利用者がサービス費用の全額を事業者等に支払い、そのときに受け取った領収書を後ほど市町村に提出してサービス費用全額から自己負担分(1~3割)を差し引いた費用の払い戻しを受ける方法。
現物給付
事業者等に利用者負担分(1~3割)だけの費用を支払い、残りは事業者等が市町村に請求して支払いを受けるという方法。
高額介護サービス費
1ヶ月で支払った介護保険サービスの自己負担額が一定額を超えたとき、超えた分の金額が介護保険から支給される仕組み。
※1ヶ月の上限額は世帯ごとの所得区分によって定められている。
介護保険料を払わなかったら・・・ まとめ
この記事では介護保険料を滞納した際のペナルティと、そのときの対応方法について説明しました。もちろん滞納しないことが重要ですが、困ったときは市区町村の担当窓口に相談するなど、解決方法を知っておくといざというときに安心ですよね。