皆さんは、介護保険制度のことをどのくらいご存知ですか?
利用されている方にはなじみがあるかもしれませんが、中には「保険料を払ってはいるけど、上手く利用できていない」方もいるのではないでしょうか。
今回は、介護保険制度の誕生から全体像などを紹介していきたいと思います。
※介護保険制度は、社会保険の仕組みを用いて高齢者の介護サービスを提供するもので、「介護の社会化」を図るために2000年から実施されています。
目次
介護保険制度が誕生した理由
介護保険制度はなぜ実施されることになったのでしょうか。
それは、日本が「高齢化社会」と呼ばれているからなんです。
65歳以上の高齢者が総人口の14%以上になると高齢化社会と呼ばれるのですが、日本は2016年には、高齢者人口が3461万人と過去最多を記録しました。総人口に占める割合は約27%、つまり日本人の4人に1人強が高齢者の時代です。
高齢者人口の増加に加え、近年では都市部を中心に子が親の面倒を見る習慣がなくなり、老人が老人を介護する老老介護や一人暮らし高齢者が増えています。
高齢者が増えて、これまでのやり方では支えられなくなってしまったため、国民自身の保険料で介護を支える制度として実施されることになったのです。
介護保険制度は、高齢者人口の増加と社会の変化に対応するために誕生したんですね!
介護保険制度とは
介護保険制度は
- 介護サービスの種類
- 介護保険事業の運営方法
- 要介護認定の手続き
- 介護給付の上限額
- 介護現場で働くスタッフ
- 介護サービスの事業所
介護サービスの種類
サービスを提供する方法や場所などによって、大きく5つに分けられます。
1.居宅サービス(訪問・通所・短期入所)
2.居宅サービス(その他)
3.施設サービス
4.地域密着型サービス
5.地域支援事業
※利用できるサービスは、要介護度に応じて決められることになります。
「介護保険のサービス」についてもっと深く知りたい方はこちら↓の記事もチェック。
介護保険事業の運営方法
被保険者の介護保険料と国や自治体の公費を財源として運営されています。
介護保険の給付費用総額は年々上昇しています。
要介護認定の手続き
以下の6つのステップで要介護度を認定しています。
1.利用者による申請
2.行政担当による認定調査
3.コンピュータを使った一次判定
4.介護認定審査会による審査
5.二次判定
6.要介護認定
※要介護度は、介護が必要な時間に応じて、要支援1から要介護5までの7段階に決められます。
介護給付の上限額
サービス利用の際に必要となる利用者負担額は、原則1割から3割。
介護給付で利用可能な介護サービスは、要介護度に応じて上限額が決められており、ケアマネージャーは介護給付の上限額に応じて、ケアプランを立てることになります。
介護現場で働くスタッフ
直接・間接的な生活援助や身体介護を行う「介護系スタッフ」や機能訓練指導や医療関連行為などを行なう「医療系スタッフ」、要介護者が生活しやすい環境・空間・機器の整備を行う「その他のスタッフ」がチームでサービスを提供します。
介護サービスの事業所
自宅で暮らす利用者に、サービスを提供する「居宅事業所」、施設で暮らす利用者に、サービスを提供する「介護保険施設・居住施設」、要介護認定やケアプラン作成などを提供する「その他の事業所」などがあります。
※事業者・団体によって、主に運営している事業所や施設は変わってきます。
年齢によって分けられる被保険者
介護保険制度における被保険者とは、保険者である市町村の区域内に住所がある40歳以上の住民のことです。
介護保険は、国が加入を義務付けている制度で、対象者は全員強制的に加入させられます。
被保険者は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である「第2号被保険者」に分けられます。
第1号被保険者は、要介護認定または要支援認定を受けたとき、第2号被保険者は初老期の認知症や脳血管疾患などの老化に起因する特定疾患(16種類)による要介護認定を受けることで介護サービスを利用できるようになります。
※第1号被保険者は、介護が必要になった原因を問わず利用できますが、第2号被保険者は16の特定疾患以外では利用できないので注意が必要です。
支払いは40歳から一生
介護保険料は、制度について知らなくても、対象の年齢になれば自動的に徴収が始まります。第2号被保険者が医療保険料と一緒に支払うのに対して、第1号被保険者は介護保険料の名目で支払うことになります。
※第1号被保険者は本人または世帯員の所得に応じて、第2号被保険者は第2号被保険者数の総報酬に応じて保険料が決まります。
万が一介護保険料を滞納してしまうと、滞納期間に応じてペナルティが課せられ、必要なときに介護サービスが受けられなくなることもあります。
知識ゼロからでもわかる介護保険制度の基本! まとめ
様々な介護サービスを、1割から3割の自己負担で利用することができる介護保険制度ですが、国が加入を義務付けられ、保険料の支払いも自動的であるがゆえに実態を知らない方もまだまだ多いのではないでしょうか。
ですが、今は大丈夫でもいつ必要になるかなんて誰にもわかりませんよね。必要になったときに何も知らないままでは慌ててしまいます。そうならないために、今から制度や受けられるサービスなどを知って、もしものときに備えておきましょう。