日本は、高齢化社会です。元気な高齢者もたくさんいますが、要介護者数は年々増加しているという現状もあります。
介護が必要になった高齢者を家族だけで介護するのは大変です。その大変な介護を社会全体で支えるためにあるのが、介護保険制度です。
介護保険で利用できるサービスには様々な種類があり、ややこしく感じている方も多いかもしれませんが、早いうちから把握しておけば、いざというときに焦らず対応できるのではないでしょうか。
この記事では、介護保険の介護サービスの種類や要介護度によっての違いなどをご紹介していきたいと思います。
目次
介護保険のサービスの3つの種類
要介護の認定を受けた人が利用できる介護サービスには、大きく分けて3つの種類があります。「居宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着型サービス」の3種類です。
※要支援の場合は、施設を利用できるサービスが限定的になります。
自宅で暮らす利用者の居宅にホームヘルパーなどが訪問し、提供するサービスです。その他、利用者が施設へ出向いて短期間介護を受けることもでき、家族が仕事や旅行などで一時的に介護ができない場合にも利用ができます。自宅で家族と暮らしながら介護サービスを受けたい方におすすめです。
介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設などで提供されるサービスです。利用者は施設において24時間体制で専門家のケアを受けられるので、家族と離れざるを得ない場合でもお互いに安心していられます。
介護が必要になっても住み慣れた地域での生活を継続できるように支援してもらえるサービスです。認知症対応型共同生活介護や夜間対応型訪問介護など、居宅と施設の両方でサービスが受けられます。サービスの基準などは地域の実情に合わせ、市区町村が設定するので、時間や回数などに柔軟に対応してもらえます。
※小規模事業所が提供するサービスなので、地域によってはサービスを受けられない場合もあります。
居宅サービス
居宅サービスは主に「訪問サービス」、「通所サービス」、「短期入所サービス」の3つに分けられます。3つそれぞれの中でさらに細かくサービスが分けられています。
訪問サービス
- 訪問介護
ヘルパーや介護福祉士が利用者の自宅を訪問して、身体介護や生活援助などを提供するサービスです。※身体介護では、入浴、排せつ、食事、起床・就寝などの介助を、生活援助では、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助を行います。
- 訪問入浴介護
自宅の浴槽では入浴が困難な要介護者に対し、ホームヘルパーや介護福祉士、看護師が移動入浴車などを使って入浴の介助を行うサービスです。
- 訪問介護
医師の指示に基づいて看護師などが居宅を訪問して提供するサービスです。主に療養上の介助と診療の補助を提供します。
※介護保険で提供される訪問看護は、医療保険の適用除外となります。
- 訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が利用者や家族、ヘルパーや介護福祉士へリハビリの指導を行います。
- 居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師や歯科衛生士、管理栄養士などが自宅で生活する利用者へ提供するサービスです。
通所サービス
- 通所介護(デイサービス)
利用者は送迎バスで施設に通所し、入浴・食事などの介護と各種レクリエーションなどのサービスを受けます。
- 通所リハビリテーション(デイケア)
施設でのリハビリ(トレーニングや趣味活動)が主なサービスですが、入浴・食事などの介護と各種レクリエーションも通所介護と同様に提供されます。
短期入所サービス
- 短期入所生活介護
介護老人福祉施設の併設施設などに入所した利用者に介護と各種レクリエーションを提供します。
※連続利用日数は30日が上限です。
- 短期入所療養介護
施設での医学的管理下におけるリハビリが主なサービスです。介護と各種レクリエーションの提供、連続利用日数の上限は短期入所生活介護と同様です。
この他居宅サービスには、車椅子や歩行器、特殊寝台などの福祉用具をレンタルできる「福祉用具貸与」、簡易浴槽や腰掛便座などを購入できる「福祉用具販売」、有料老人ホームなどが介護サービスを提供する特定施設入居者生活介護や介護サービスを利用するためのケアプランを作成する居宅介護支援と予防介護支援などがあります。
※高齢者向けの住宅改修も介護保険の対象となるサービスです。
施設サービス
施設サービスは、「介護老人福祉施設サービス」と「介護老人保健施設サービス」と「介護療養型医療施設サービス」の3種類です。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
比較的安価で介護や看護に重点を置いたサービスを受けられますが、入所が難しいところがあります。
- 介護老人保健施設
病院と介護福祉施設の中間的な存在であるは比較的病状の安定した患者に看護やリハビリなどを提供します。
- 介護療養型医療施設
寝たきり老人や認知症患者などの自立が難しい要介護者を受け入れていますが、2017年に廃止が決定しており、今後は介護医療院などに転換されることになっています。
「特別養護老人ホーム」についてもっと深く知りたい人はこちら↓の記事もチェック。
地域密着型サービス
居宅・通所・入所のサービスを兼ね備えている地域密着型サービスですが、「地域密着型」というだけあって、サービスの提供は自分が住んでいる地域でのみとなります。
※隣の市町村にある介護施設のサービスは原則として受けることはできません。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
ヘルパーなどが1日複数回利用者宅を巡回する定期巡回、通報を受けて対応の要否を判断する随時対応、訪問の要否に応じて訪問する随時訪問、看護師が訪問して療養上の世話または診療の補助を行う訪問看護の4つのサービスを組み合わせて提供しています。
※医療と介護が一体となった支援となっています。
- 夜間対応型訪問介護
夜間帯(18時~20時)に、定期巡回、通報を受けてから対応するオペレーションサービス、随時訪問の3つのサービスを提供しています。
- 地域密着型通所介護
地域住民のみを受け入れる小規模の通所サービス。
- 認知症対応型通所介護
要介護・要支援に認定された認知症患者専用のサービス。認知症ケアや生活についての相談、助言などを提供します。
- (看護)小規模多機能型居宅介護
小規模多機能ホームやグループホームの併設施設などで訪問、通所、短期入所とを組み合わせて提供するサービス。
- 認知症対応型共同生活介護
軽度の認知症患者が5~9人のユニット単位で互いに役割を分担しながら、共同で自立した生活を送るためのサービスを提供しています。
「要介護」と「要支援」では受けられるサービスが違う!
サービス内容は「介護」と「介護+医療」に分けられていて、介護のサービスでは身体介護や生活援助などのサービスを主に提供し、介護+医療のサービスでは医療行為やリハビリ、療養指導などのサービスと介護を一体的に提供します。
~要介護で受けられるサービスの内容一覧~
~要支援で受けられるサービスの内容一覧~
※要支援者向けのサービスには施設サービスがなく、要介護者向けのものより少ないです。
介護保険の利用にあたって知っておきたい介護サービスの種類 まとめ
サービスを受けるためには、要介護度、利用者の希望、費用、家庭の事情などを踏まえたうえで、ケアマネージャーと相談することが大切です。介護に関わる人にとって最善のものとなるようなケアプランを作成できるように密な相談が必要になってきます。
介護サービスを効果的に利用して、心と体の負担を減らし、快適な暮らしを送りましょう。