人生には、いろいろなイベントがありますよね。
成人式、結婚式、喜寿のお祝いなどなど…これらのイベントは自由な形式で執り行われることが多くなってきました。いろんなところに多様化の波が及んできているのですね。
ところが、葬儀となるとどうでしょうか。しきたりや決まりごとが多いため、保守的になることも珍しくありません。ですが「葬儀社に葬儀を頼まないでくれ」と遺言する方、手作りの葬儀を望む方などもいるのです。そんな方にぴったりなのが今回紹介する「自前葬」です。
「自前葬」とは
自前葬とは、葬儀社を使わないで、個人(自分たち)でお葬式を執り行うことです。
自前葬をしたい理由としては大きく以下の3つが挙げられます。
- 葬儀社を使わないので安上がりだろうから。
- とにかく葬儀社を使いたくない、親の遺言であるから。
- 自由に、自分なりにしっくりくる方法で大事な人を送りたいから。
なるほど、今の時代にあっているといえるかもしれませんね。
3つに共通なのは、人の手、特に葬儀社の手を借りないで、自分たちで仕切ってやりたいということです。
最近では、ネットや書籍で必要な情報を集められますし、葬儀に必要なモノをネット通販などで買うこともできます。
考えなければならないのは、どこまでの自由が許されるのか、自分たちだけで最低限の決まりごとをできるのかというところでしょう。
用意しなければならないモノ・ヒト
自前葬は準備が必要です。
その準備には、会場や備品などのモノと僧侶・神主、司会・受付などのヒトの両方の面から押さえておかなければなりません。
モノ
遺体安置場と葬儀会場
自宅、公民館、お寺、ホテルなどの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、よく考えて会場を選びましょう。
※総合的に見ると、公民館、自宅、お寺、ホテルの順になります。
お棺・骨壺・仏衣・位牌など
従来は、葬儀社でしか手に入らなかったこれらのモノも現在ではネットで簡単に購入することができます。
意外や意外、お棺すら買えるのです。安いものでは、折り畳み式で2万30000円強のものも。
1日10㎏必要なので、必要日数に応じて製氷店・葬儀社、ネットなどで購入しましょう。※寒い時期であれば不要の場合も。
祭壇
レンタルでも30~120万円かかるので、自前葬には向きません。自前で安く調達したモノをうまく並べましょう。
遺影
自分で修正・大きくプリントアウトするなどの準備ができればそれが一番です。
街のDTP店に頼むという手もあります。※故人が生前に用意しておくことも可能です。
「生前遺影」についてもっと深く知りたい方はこちら↓の記事をチェック。
芳名帳・筆ペン・香典入れ
受付に必要です。
香典返し
人数分をあらかじめ業者に注文し、前日までに会場に届けてもらいましょう。
通夜振る舞い・精進落とし
会場出入りの業者などに人数分頼んでおくと良いでしょう。
ヒト
僧侶・神主、牧師・神父
聖職者が必要な場合、菩提寺の確認などを行ないましょう。
司会・受付・案内
直系の遺族以外の親族か、喪主の親しい友人・知人関係などにあらかじめ協力を依頼しておきます。
- 葬儀に来てもらう人の連絡先リストを作っておく。
- あらかじめ親族などに「自前葬」でやりたいことを伝え、同意と協力のお願いをしておく。
自前葬の費用例
故人のために手数をかけることによって、思いを込められたり、費用を安くあげられたりする自前葬ですが、実際にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
一例として、参列者30人の仏式(戒名なし)で僧侶を頼んだ場合の費用を見てみましょう。
※芳名帳・筆ペン・焼香用の香・焼香皿・燭台・額縁などの細々としたものは除いています。
〈費用例〉
遺体の搬送(自家用車) | 0円 |
お棺・骨壺・仏衣・位牌など(ネット通販) | 23000円 |
遺体安置場・葬儀会場(公民館) | 100000円 |
ドライアイス(2日分20㎏) | 10000円 |
遺影(街のDTP店) | 5000円 |
火葬代(公営・住民の場合の一例) | 20000円 |
僧侶(ネット派遣) | 100000円 + 交通費10000円 |
香典返し | 1人1000円 × 30人 = 30000円 |
通夜振る舞い | 1人3000円 × 30人 = 90000円 |
精進落とし | 1人4000円 × 30人 = 120000円 |
合計 508000円 |
葬儀社を使わない格安葬儀「自前葬」 まとめ
自前葬は手数がかかって当たり前なので大変だと感じる方も多いと思います。ですが、その分だけ手作りの良さが出て、費用も安くなります。
「自前」の「自」は、「自分」ではなく「自分たち」であることと思っていれば、無理をせずに自前葬を執り行うことができるでしょう。