日本では、少子化や核家族化が進み、お墓の承継者のいない人が増えています。まだまだ承継を前提とする「家墓」が主流の中で近年注目されているのが、「永代供養墓」や納骨堂などの新しいシステムのお墓です。また、お墓の形をとらない埋葬方法も登場しています。
どのような新しい選択肢が出てきているのか、今回は「永代供養墓」を中心にご紹介していきたいと思います。
「永代供養墓」とは
「永代供養墓」は、承継者の代わりに墓地の管理者が永代、または一定期間、遺骨を管理・供養する新しいシステムのお墓です。一般的な墓地とは違い、承継者がいなくても契約ができます。生前に契約できることも大きな特徴です。
最期まで自分らしくありたいと思う女性のための女性専用の永代供養墓も登場しています。
遺骨を骨壺に入れて一定期間安置し、その期間が過ぎると遺骨を骨壺から出して、他の遺骨と一緒に合祀するというケースが一般的です。
※合祀(ごうし)とは、骨壺から遺骨を取り出し、他人の遺骨とまとめて埋葬することです。
合祀することに抵抗がある場合は、半永久的に骨壺のまま安置してくれるところもあります。また、最初から合祀する墓地もあるので、確認が必要です。
16年間(十七回忌)、32年間(三十三回忌)、49年間(五十回忌)が多いようですが、選べるシステムのところもあります。
※埋葬方法や安置期間などは、墓地によって様々です。
永代供養墓の経営形態も、一般のお墓と同様、「公営」、「民営」、「寺院」の3種類があります。半永久的な管理・供養を依頼するのですから、きちんと管理されていて、経営母体がしっかりしている墓地を選ぶことが大切です。
「永代供養墓」の3つのタイプ
永代供養墓の形態には、「単独墓タイプ」、「集合墓タイプ」、「共同墓タイプ」があります。
以下にまとめたので参考にしてみてください。
一般的なお墓と同じスタイルで、カロート(遺骨を納めるための場所)に納骨します。生涯独身の人が入る個人墓、夫婦だけで入る夫婦墓などがあります。
多くの場合、一定期間の供養の後、共同墓に合祀されます。
全体としてひとつのお墓になっていますが、遺骨はそれぞれ個別のカロートに安置されます。個々に小さな石碑などもあります。
単独墓と同様、一定期間を過ぎると、共同墓に合祀されます。
様々な人の遺骨を一緒に埋葬するお墓で、永代供養墓のタイプの中で最もポピュラーなものです。埋葬地には、石塔などが建てられます。
多くの場合は、骨壺で納骨され、一定期間を過ぎると合祀されることとなります。
「永代供養墓」が選ばれる理由と注意点
- 子どもがいない。
- 子どもは結婚・改姓した娘しかいない。
- 子どもと離れて暮らしている。
- 子どもが結婚しておらず、子どもの代で、承継者が途絶える。
- 未婚で実家のお墓に入りたくない。
- お墓の維持などで子供に負担をかけたくない。
などの様々な理由で選ばれています。
また、必要な料金(永代使用料・永代供養料・納骨料)を一度支払えば、その後の管理料などの費用がかからないのも魅力のひとつでしょう。
※ただし、生前契約の場合には、お寺を維持していくための護持会費を納める場合もあるようです。
承継者の問題などから、自分が永代供養墓に入ることを決めた場合は、先祖代々のお墓も永代供養墓や納骨堂に改葬することも考えましょう。そのままにしておくと、無縁墓になってしまいます。
※永代供養料は改葬する遺骨数などで変わってきます。
その他の新しい選択肢
永代供養墓以外の新しい選択肢を簡単にご紹介します。
納骨堂:
屋内の収蔵庫に遺骨を骨壺のまま安置する。代々承継できる納骨堂もある。
樹木葬:
遺骨を直接土の中に埋め、その墓標として樹木を植える埋葬スタイル。遺灰を撒いた場所に樹木を植える「散骨樹木葬」などもある。
散骨:
遺骨をお墓に納めずに、海や山などに撒く葬法。お墓にこだわらず、自然に還りたいと考える人が増えて注目が集まっている。
手元供養:
遺骨をお墓に入れずに供養する方法。遺骨を小型の骨壺に入れて自宅で供養。また、合成ダイヤモンドに加工して、指輪やネックレスにすれば、いつも身につけていられる。
「納骨堂」のことについてもっと深く知りたい人はこちら↓の記事もチェック。
お墓の新しい形「永代供養墓」が選ばれる理由! まとめ
承継者がいなくても入れ、管理料もいらない永代供養墓。近年では、お墓の新しいスタイルとして注目されています。永代供養墓は、現代の社会状況に対応したお墓といえるでしょう。