5つのステップで慎重な墓地選び!

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終活をするうえで多くの人が取り組む事柄のひとつが「お墓の準備」です。先祖代々のお墓を承継するのか、新しく建てるのか…。
今回は、新しくお墓を建てるときの墓地選びの5ステップをご紹介したいと思います。

墓地の種類や立地、使用規定などには、様々なものがあります。
それぞれの条件を慎重に検討したうえで、墓地を選びましょう。

ステップ1 情報収集

墓地選びの情報収集は、公営墓地ならば、自治体のホームページや広報誌、役場の窓口などから。民営墓地や寺院墓地ならば、インターネット、チラシ、新聞・雑誌の広告のほか、石材店からも得ることができます。

上で挙げたように、墓地には3つの種類があります。特徴などをまとめたので参考にしてみてください。

公営墓地

経営主体:都道府県、市町村などの自治体。

申し込み資格:
宗旨・宗派は不問。ただし、「その自治体の住民であること」、「居住年数」など自治体ごとに規定がある。
※宗旨・宗派が不問なので、キリスト教や神道、無宗教でも使用が可能。

募集時期:自治体によって募集期間が決まっており、年1回というケースが多い。

費用:永代使用料、管理料などが割安。

墓地の形態:広い敷地に樹木や草花を配した公園墓地が主流。

民営墓地

経営主体:公益法人や宗教法人。

申し込み資格:
特に制限がない場合が多いが、宗旨・宗派の規定のある民営墓地もあるので注意。事前確認が必要。

募集時期:墓地区画の空きがなくなるまで、随時募集が行われている。

費用:永代使用料、管理料などは、公営墓地と比べると高い。

墓地の形態:ほとんどは公園墓地で、法要施設など墓地内の施設も充実。

寺院墓地

経営主体:宗教法人である寺院。

申し込み資格:
その寺の檀家であることが一般的。ただし、宗派不問の寺院墓地もある。

募集時期:墓地区画に空きがあれば、その都度募集が行われる。

費用:
公営墓地、民営墓地より永代使用料、管理料が割高。檀家になれば、寺院維持のためのお布施や寄付が必要になる。

墓地の形態:
通常は寺の境内にある寺院境内墓地だが、郊外に寺院公園墓地を設けている寺院もある。

ステップ2 墓地の絞り込み

特に検討すべきポイントは、永代使用料などの費用、墓地の立地や環境、設備などです。また、民営墓地の場合、地方自治体の定めた基準を満たす墓地に許可番号が与えられており、その墓地に許可番号があるか、墓地の経営状態は良好かなどのチェックが必要です。

費用

費用のことを考える際には、永代使用料だけでなく、管理料のことも忘れないようにしましょう。通常、管理料は1年分、あるいは数年分をまとめて払いますが、墓地を使用し続ける限り長年にわたって必要となる出費です。また、墓地の種類でも管理料は変わってきますので、注意しなければなりません。

立地

自宅からあまりに遠い墓地だと、気軽にお墓参りというわけにもいかなくなってしまいます。実際にお墓参りに行きやすい場所かどうかを、よく考えましょう。また、近くても急な石段や坂道を登らなくてはならない墓地は高齢になったときが大変です。先々のことを考えて墓地の場所を選択しましょう。
※費用などの問題から遠方の墓地を選択する場合は、交通アクセスの確認が重要です。

環境

周囲に騒音発生源がなく、静かな環境である方が良いです。繁華街に隣接している墓地、交通量の多い道路沿いの墓地などはなるべく避けた方が良いでしょう。そして、日当たり、水はけ、風通し良好の墓地が好ましいです。墓石は紫外線によって劣化が速くなりますが、良質な石材であれば問題視する必要はありません。むしろ、ジメジメと湿った環境の墓地は、墓石や遺骨に悪影響があるだけでなく、お墓参りをする側にとっても、あまり気持ちのいいものではないでしょう。傾斜地の墓地の場合は、地盤が安全かどうかの確認も必要です。

設備

お墓参りに車を利用する人は、駐車場の有無を必ず確かめましょう。また、広さ、墓地の入り口までの距離なども重要視しておくべきでしょう。水場のチェックも欠かせません。場所、いくつ置いてあるのか、柄杓や水桶は備え付けられているのかなど確認してみましょう。
設備の充実度は、墓地選びのためのポイントのひとつです。近年では、売店、休憩所、法要施設などを備えた墓地も増えています。しかし、様々な設備が完備されていればいるほど、墓地の価格も高くなってしまいます。そこで重要になってくるのが、設備の優先順位を決めることです。予算内で希望に添う墓地選ぶためには、家族にとって最低限必要な墓地の設備は何かを、あらかじめ絞り込んでおくと良いでしょう。

ステップ3 墓地の下見

お墓は一度建ててしまうと、簡単に手直しや改装ができないので、申し込みの前に、必ず自分で出向いて下見をしてください。交通アクセス、墓地の管理や経営の状態などしっかり確認しましょう。

交通アクセス

将来自分が高齢になり車の運転ができなくなったときのことを考えると、電車やバスでも行ける墓地の方が良いでしょう。また、電車やバスを利用する場合は、運行間隔なども確認しておきましょう。墓地まで10分にもかかわらず、1日に数本しか運行していない場合もあるかもしれません。最寄駅から墓地への交通も要チェックになります。最近では、最寄駅からの無料送迎バスを運行しているところも増えてきているようです。
※自分で出向き、電車やバスの乗り継ぎ時間なども含めて、墓地までの実際の所要時間を知ることが肝心です。

管理状態

墓地に様々な設備があっても、管理が行き届いていなければ意味がありません。そこで、墓地に常駐の管理スタッフがいるのか、スタッフによる定期的な墓地の見回りは行われているかなどの管理体制をチェックしておくことが大切です。現地に下見に行った際は、自分の目でしっかりとチェックしましょう。トイレや水場、休憩所などの墓地施設の清潔度、緑地や歩道などの共有スペースの手入れ状況などがチェックポイントとなります。

経営状態

表面的な管理状態を確認するだけではなく、経営状態を把握することも大切です。何故かというと、赤字経営の続く墓地は管理もおろそかになる恐れがあるからです。
公営墓地は自治体の経営なので、墓地の管理については安心できるはずです。寺院墓地は、お寺の跡継ぎ問題がなければ安心でしょう。特に注意しておくべきなのは、民営墓地です。民営墓地は経営状態に差があり、墓地によっては、それが管理の状態に反映されてしまうのです。管理・運営がしっかりした墓地を取得するために事前に経営状態を調べておきましょう。

現地に行かなければ気づかないことが必ずあります。新しく造成された墓地の場合は特に注意が必要です。まれに、近隣住民が造成を反対している場合があります。そういう場合は、墓地の所有者が信頼のおけるところかどうかもう一度確認しておくと安心です。

ステップ4 使用規定の確認

墓地を選び、購入の意思が固まったら、契約をする前にもう一度、墓地使用規定を確認することが大切です。重要なことほど小さい文字で書かれていることもあるので、書類の隅々までしっかりと目を通しましょう。
墓地の取得契約とは、住居の賃貸契約のように、お墓用の土地を「代々使用する権利」を取得する契約です。お墓用の土地を「所有する権利」を買う契約ではありません。墓地を取得する際は、墓地の使用規定を必ず守らなければなりません。

公営墓地は、自治体が条例によって規定を定めていて、民営墓地では、経営主体ごとに独自の使用規定を定めています。寺院墓地もお寺ごとに使用規定がありますが、規定を文書にしていないお寺もあるので、その場合は説明をよく聞いておきましょう。

墓地の使用規定の内容例と注意点

使用者資格:
使用にあたって、宗旨・宗派に制限があるかの確認が必要。また、遺骨がない場合は使用が認められない場合もある。

承継者の条件:
承継者がいないと使用できない場合や、承継者は何親等までというように、承継の範囲を制限している場合もある。

永代使用権の取り消し条件:
管理料の滞納、墓地の譲渡や転貸などが、使用権の取り消し条件として一般的。墓地によって、他にも取り消し条件があるので注意が必要。

埋葬者の制限:
原則的に親族以外の埋葬を認めていない墓地が多い。承認を得られれば親族以外でも埋葬できる場合もある。

墓石の形態の規定:
希望通りのお墓を建てられるか、墓石の形や高さに関する規定があるかどうかのチェックが必要。

墓石工事の規定:
墓地取得後、いつまでにお墓を建てるか期間が定められている場合がある。

管理料の支払い方法:
管理料は1年分をまとめて支払うのが一般的ですが、数年分の前納を定めている場合もある。

※その他、使用上の制約、墓地内の設備、墓地使用権の譲渡、施設の使用などの事項もあります。

墓地は代々使用するものです。わからないこと、不安なことがあったら必ず契約前に解決しておきましょう。
将来トラブルになるのを防ぐために、承継者の条件や永代使用権の取り消し条件、管理料の支払い方法などについては特に注意して確認しておく必要があります。

ステップ5 申し込み・契約手続き

墓地使用権の取得方法も公営墓地、民営墓地、寺院墓地でそれぞれ違います。
以下にそれぞれまとめてみました。

公営墓地の申し込み先は、墓地を管理している各自治体です。

契約成立までの流れ:
申し込み → 抽選や書類審査 → 使用料の払い込み → 使用権の取得 → 申請した自治体から使用許可証が交付される → 契約成立

民営墓地は、経営主体と管理業者が異なっている場合が多く、その場合は、管理業者を窓口として申し込みを行います。墓地の所有者が経営主体の場合は、直接契約を交わすことになります。

契約成立までの流れ:
申し込み → (空きがあれば)契約成立 → 永代使用料の支払い → 墓地の取得

寺院墓地では、お寺に直接申し込み、檀信徒加入契約をして檀家となるのが一般的ですが、墓地が境内以外で運営されている場合は、経営主体が寺院、管理・運営は業務代行業者ということになり、その場合は、管理・運営業者に申し込む形となります。

5つのステップで慎重な墓地選び! まとめ

お墓は好きなところに建てられるわけではないので、墓地選びはとても重要になってきます。
「必要になったら買うか考えよう」と思っている方がいれば、一度情報収集だけでもしてみてはいかがでしょうか。
お墓は、代々守っていくものです。納得できる良いお墓を建てましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

村山豊

年齢:57歳
結婚願望はなく独身。葬儀関係の仕事をしている。
最近流行りの終活についての情報を、ブログに載せると好評だったため、継続して記事を書くようになった。今後も自身の経験も踏まえて発信したいと思っている。