「気付きにくい財産」を思い通りに引き継ぐ方法

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会社や家族に黙っていて、自分しかその財産の存在を知らないというパターンが現在増加しています。

今回の記事では著作権や保険、現金の遺産など、誰にも言わずにいるとそのまま有耶無耶になってしまう「気付きにくい財産」についてお話ししていきます。具体的には、どのようなときにそのようなケースが起きるのか、回避するにはどうしたらいいかをご紹介いたします。

工業所有権、著作権について

目には見えないものですが、著作権や特許権、実用新案権※1といった法的な権利は相続財産に含まれる大切な資産です。つまり、相続も可能なのですが、本人が忘れている、そもそも相続財産であるという認識がないケースが多いです。
※1 物品の形状、構造または組み合わせに関わる考案を保護するための権利。

工場所有権

製造業や技術系の仕事をされていた方々の中には特許権や実用新案権、これらを総称して「工業所有権」というのですが、これを個人で取得している場合があります。

特許権の有効期限は出願から20年、実用新案権は10年と定められており、期限が過ぎると消滅してしまいます。しかし期限内であれば相続することが可能なので、これらの権利については知っていれば官公庁に届け出をできたはずです。相続できる権利として覚えておきましょう。

著作権

著作権で守られる範囲は非常に広く、「思想または感情を創作的に表現したもので文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」とあります。
ですから、実は著作権というのは作家や音楽家、画家、カメラマンと言ったクリエイティブな職業の方々だけではなく、誰にでも発生するものなのです。
あなたが趣味で書いた小説、論文、作曲した音楽、イラストにも著作権は発生します。上手い下手に関わらず必ず発生するのです。

著作権に関しては相続に書類上の手続きや届け出は義務付けられていませんが、自分の思うように取り決めておきたい場合は遺言書に記載しましょう。
著作権は原則として著作者の死後50年を経過するまでとなっております。

保険について

家族に内緒で生命保険に加入していて、その受取人に対して受け取る資格があることを隠していた、伝え忘れていた場合はどうでしょうか。
その場合、受け取ることができる人は知らされていないので、本人が受取人であると認識できるはずがありません。

生命保険は被保険者が亡くなったときに受取人が保険会社に保険金支払いを請求することではじめて保険金が支払われます。原則として保険会社の方から受取人に知らせる義務はありません。※受取人の権利なので、受取人が請求する必要がある。

ゆえに「父が亡くなって数日後、突然通帳の残高が増えていた。父が家族の知らないうちに生命保険に加入していたようだ」という美談は現実にはあり得ません。
したがって基本的には、受取人に対して「○○社の生命保険に入っている」、「もしもの時はあなたから請求してほしい」という旨を伝えておきましょう。
※最近では被保険者の死亡を確認したのち、受取人に連絡をする保険会社も出てきました。とは言え、受取人に対して事前の説明は行っておく方が確実です。

現金(タンス預金)について

2005年、日本の民間金融機関において「ペイオフ」が全面的に解禁になりました。
これは銀行が財政破綻したときにその金融機関の口座は1000万円までしか保証されない、返ってこないというものです。

当時、高額の預金を持っていた人は万が一に備えて複数の金融機関に預金を分散、もしくは現金で手元に持っておこうと考えました。この手元に持っておいたお金が「タンス預金」となります。

タンス預金が大量にあると、これ自体にも相続がかかってくるため、相続税を考えつつ、相続させるつもりであればその所在を誰かに伝えるなり、遺言書に記しておくとスムーズにいきます。

「気付きにくい財産」を思い通りに引き継ぐ方法 まとめ

今回の内容で、全てにおいて共通する大切なことは、受け継ぐ人に対して「必ず伝えておく」ということです。何らかの遺産を受け取る人が知らなければ、「なかったもの」として扱われてしまいます。
また、著作権に関して言えば、自身が生きているときは評価されなくても、数十年後に良さが認識されるという場合もあります。
後に遺される人たちのために気付きにくい財産の棚卸をしてみましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

村山豊

年齢:57歳
結婚願望はなく独身。葬儀関係の仕事をしている。
最近流行りの終活についての情報を、ブログに載せると好評だったため、継続して記事を書くようになった。今後も自身の経験も踏まえて発信したいと思っている。