他人には相談しづらい相続のハナシ

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今回は、客観的に見て他人には相談しづらいような内容を「遺言書」で残すときのお話になります。

婚外のところでできてしまった子どもに相続させたい、内縁の夫もしくは妻に財産を継がせたい、相続について調べていたらプラスどころかマイナスの遺産の方が多かった、といった状況になってしまったとき、あなたには相談できる人がいるでしょうか? 誰にも相談できずに困っている方は多くいると思います。

このような場合の「遺言書」の残し方について説明していきます。

婚外の子を認知したい

婚外の子(非嫡出子または婚外子)を相続人にしたい場合には、「認知」することが重要になってきます。

認知とは、「この子は自分の子どもである」という法的な認識のことで、男性が行うものです。母親である場合は戸籍上に親子関係が確認されるので問題はないのですが、父親は「婚姻関係を結んでいない相手との子ども」に対しては認知していないと戸籍に記載されることがないので認知の手続きが必要になります。
※戸籍に載っていないと相続人として認められないため、婚外の子に遺産を与えたい場合は認知する必要があります

認知はいつでも行えますが、今回は遺言による認知の方法を見ていきましょう。
遺言により生前には認知していなかった子どもを、認知したうえで、遺産を相続させることもできます。

遺言書で行う場合は遺言執行者を指定しておきましょう。※役所に認知の届け出を出す必要があるため。

例としては、

第○条 遺言者は、○○県●●市●●△番地 A(昭和○年○月○日生)を認知する。

上記↑を参考にしてみてください。

 

婚外の子を認知する際は相続人には事前に伝えるなどしておくか、ギリギリまで悩むにしても遺言書の付言にて元々の相続人を労う言葉を入れるなどして、極力もめ事が起こらないように努めましょう。

注意

婚外子が成人している場合:本人の許可が必要。
成人していない、または妊娠中の子どもの場合:子どもの母親の許可が必要。

内縁の妻、または夫に財産を継がせたい

長い間同居して助け合って生活し、相手の看病や介護まで検診的に行っている、そんなカップルがいたとしても戸籍上の婚姻関係がなければ、お互いの財産を相続する権利はありません。

内縁の妻、または夫は、法定相続人として認められないためです。

そこで内縁関係の相手に財産を残したい場合は必ず遺言書を作っておきましょう。
遺言書によって指定すれば、相続人以外の第三者、血縁や婚姻関係がない人にでも財産を与えられます。これを遺贈といいます。

注意

内縁者にスムーズに財産を与えるためには、他の相続人の遺留分を侵害しないように努めましょう。
これを留意した遺言書でなければトラブルが起こりかねませんし、「内縁関係者のせいで家庭が壊れた」、「配偶者を奪われた」、「親を奪われた」といった反感もあるからです。
その点に関しても付言の活用が重要です。事情の説明、お詫び、お礼の気持ちを込めましょう。

少々踏み込んだ話になりますが、「法の関係上カップルになれない」という方々もいらっしゃいます。男性同士、もしくは女性同士のカップルであると、今の法律※1では配偶者として認められません。このような場合、「遺言書の活用」か「養子縁組」という手段があります。
※1 令和元年7月26日時点。

遺留分から判断して、結果的に遺言書の活用の方がより多く遺産を遺せると判断ができるのであれば遺言書の付言を活用しましょう。養子縁組であれば親子関係で残される側が子どもとして扱うことができます。他に子どもも配偶者もいなければ全財産を譲り渡せるので、その場合は親や兄弟に向けてエンディングノートに書き記した方がよいでしょう。

遺産がマイナスになりうる時とその対処法

遺産になるものとしては「預金」や「不動産」といったものを上げましたが、マイナスになりうる遺産というのものもあります。
具体的には「債務」、つまり借金の返済や支払いの約束です。また、被相続人が連帯保証人になっている場合も負の遺産となります。
これらに関して言えば、被相続人が計算し、「債務」よりも「預金」や「不動産」が多いときに遺言書を残し、その旨を記しましょう。

相続放棄

確実にマイナスになる、もしくは連帯保証人になった相手が今後自分の遺産を引き継ぐ際に借金をしてしまうかもしれないと考えた場合は、事前に相続人に連絡を取り、「相続放棄」を行ってもらうのがよいでしょう。相続放棄をすれば財産は一切手に入らなくなりますが、借金を支払う義務を放棄できます。

この辺りが曖昧な人は「限定承認」という手段をとることもできます。こちらは3か月ほど相続人である人たちが被相続人の財産を確認し、どうなるかを精査する時間が与えられる手段です。
※3か月ではっきりとわからなかった場合は申請すればさらに3か月、結果的に半年は考える猶予を与えられます。
その期間を超えてなお、相続放棄をしなかった場合、相続人は遺産を引き継いだ、ということになりますので期間中にしっかり精査しましょう。

他人には相談しづらい相続のハナシ まとめ

今回は特に他人に相談しづらい相続の話をまとめました。
実際にこういった状況に直面すると他人には相談しづらいうえ、一部のものは「法が対応しきれていない」という状況があるため、手続きが複雑になることもあります。
これらの状況にある場合は、より柔軟な対応が求められます。

ABOUTこの記事をかいた人

村山豊

年齢:57歳
結婚願望はなく独身。葬儀関係の仕事をしている。
最近流行りの終活についての情報を、ブログに載せると好評だったため、継続して記事を書くようになった。今後も自身の経験も踏まえて発信したいと思っている。