遺言書を作ったあとに保管場所に困る人も多いのではないでしょうか。遺言書の保存の仕方にはそれぞれメリットやデメリットがあり、家族と自分の関係や、家族それぞれの性格、自分が出来る保存のやり方などから保存方法を考えていきましょう。
目次
遺言書はどこに保管すべき?
公正証書遺言の形をとった場合、公証役場での保管が可能ですが、自筆証書遺言の場合は、自分でどこかに保管しておかなければなりません。
相続人の1人に預けている方が多いようですが、これはあまり良い手ではありません。
何故かというと、以下のような危険性があるからです。
- 遺言を預けられた相続人が中身をこっそり見て書き換えたり、隠したりする。
- 遺言の内容が預けられた相続人に有利になっていた場合、他の相続人からあらぬ疑いをかけられてしまい、相続争いが発生する。
このようなことにならないためにも遺言書の保管場所には注意をしなければなりません。
今回はおすすめの預け先を2つ紹介します。
相続に利害関係のない知人や遺言作成を相談した専門家
遺言を預かった人には、それを保管する責任と遺言を使うことになった場合に検認手続きを行う必要があるので、知人よりも専門家に相談のついでに保管をお願いする方が良いかもしれません。
※専門家に預けた場合は、多少の保管料がかかる場合があります。
☆注意☆
知人や専門家に遺言者がなくなったという情報がきちんと伝わらなければなりません。そのため、配偶者や子どもなどの身近な相続人たちに「自分の遺言は○○さん(または○○先生)に預けてあるから、自分が死んだらすぐにその人に連絡を入れるように」と伝えておきましょう。
上記↑が最も手軽な方法になりますが、知人や専門家が先に亡くなってしまった場合にどうするかという問題があります。預けた方がしっかりした方ならそうなった場合の事後処理の対策をしていることもありますが、そうでない場合も多いです。
不安がある方は2つ目の方法も検討してみてください。
銀行の貸金庫や信託会社の遺言委託サービスの利用
銀行は使用料を支払えば、金庫を貸してくれるので、そこに遺言書を保管する方法があります。また、信託銀行には遺言信託というサービスを行なっています。
※遺言信託では、遺言書作成の相談から遺言書の保管、遺言の執行まで相続に関する手続きを引き受けてくれるサービス。具体的なサービスは銀行や信託銀行により異なる。
- 法人に預けるので、先に亡くなる心配がない。
- 費用が高い。
- 遺言の保管だけを依頼することができない。
- 相続人が遺言を見ようとしたときに、検認手続きと同じような手間がかかる場合がある。
令和2年7月10日からは、法務局での保管がスタートします。
詳しくは、「法務局における遺言書の保管等に関する法律について」のページをご覧ください。
家族に知らせるべき?
家族が遺言書の存在、場所、内容を知っていれば、相続がスムーズに行われますよね。遺言状を発見できずに、相続人だけで遺産分割協議を済ませてしまうという事態も防げます。
ですが、保管場所までを知らせるべきかどうかは意見が分かれるところです。家族との関係性や相続争いの可能性などを総合的に考えたうえで決めるべきです。
以下にメリット・デメリットと解決方法をまとめたので参考にしてみてください。
- 相続の手続きがスムーズ。
- 遺言書の場所を知らせていれば、厳重に隠しすぎたため後になって見つかったというトラブルもなくて済む。
- 内容をめぐって書いた本人と家族との間でトラブルが生じる可能性がある。
※内容に納得がいかない家族が書き直しを要求、書き直した形跡について議論が巻き起こる。 etc.
! 解決方法 !
生前のうちに予定を告げておき、話し合いのうえで決めると全員が納得しやすいです。少なくなる理由、多くもらう人がいる理由を生前のうちに家族全員で話しておくと少なくなる人が特に納得しやすくトラブルを未然に防ぐことにつながるでしょう。
遺言書には封をするべき?
まず自筆証書遺言書を見つけたら、封がされている・いないに関わらず、必ず家庭裁判所での検認が必要になってきます。放置したり、そのまま遺言内容を実現しようとしたりするのもダメです。
- 中身を見られないで済む。
- 書き換えや入れ替えを防ぐことができる。
- 一旦封をすると、裁判所で検認を受けるまで開けることができない。
- 遺族が開けてしまった際には5万円以下の過料に処される。
【自筆証書遺言】預け先例と注意しておきたいこと まとめ
どのような形式で保管するにしても、まずは事前に家族全員で話し合い、全員が納得した形で遺言書を残すことが重要です。その上で、公証役場や法務局に預けるなど、改ざんのリスクを少なくする工夫をしていきましょう。