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成年後見制度のメリット・デメリット
成年後見制度におけるメリットとデメリットについてまとめました。
- 対象者を法律的な被害から守れる。
→ 財産を預けていれば、財産を守ることができます。
- 既に行った不正な契約については取り消すことができる。
→ 予防だけでなく、対処にも強い制度です。
- 法律手続きを代わりに行ってもらえる。
→ 任意後見制度であれば、対象者本人が自由に後見人を選ぶことができます。
- 成年後見人に対して毎月報酬を支払う必要がある。
→ 基本は月2~3万円ですが、資産を多くお持ちの方については上乗せが必要です。逆に財産が乏しい場合には、市町村によっては補助金が出ることもあります。
- 後見人として就任すると途中で辞めさせられない。
→ 後見人が自己の利益のために横領するなど、よほどの事情がない限りは不信感を持っていても辞めさせることはできません。
- 節税対策が禁止される。
→ 対象者の利益を守ることが目的なので、残される家族や親族のための節税対策を行うことができません。
- 選任手続きに時間を要する。
→ 申し立て後3か月程度は時間を要すると考えておいてください。成年後見制度利用の検討はお早めに。
- 一定の職業に就けなくなってしまう。
→ 成年後見制度を利用するということは、正常な判断をする能力が弱くなっているため、重要な業務を行う仕事(例:社長、弁護士・司法書士などの士業)に就くことは危険であると考えられています。
申し立てから業務開始まで
メリット・デメリットがわかったところで、今度は申し立てに必要な書類や費用、申し立てから業務開始までの流れについて見ていきましょう。
申し立てに必要な書類
申し立ては、対象者の住所地の家庭裁判所に行いますが、今回は、東京家裁での場合についてまとめました。
※各家庭裁判所によって、違いがあるので、申し立てをするときは下調べを十分に行ってからにしましょう。
(東京家庭裁判所の場合)
後見などの開始申立書 | 申立人、対象者、成年後見人候補者を記載。 |
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申し立ての事情説明書 |
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親族の同意書 | 対象者の配偶者や子どもなど(困難なら提出しなくてもよい)。 |
後見人候補者事情説明書 | 候補者の氏名、住所、経歴、経済状態(年収など)。 |
財産目録 |
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収支状況報告書 |
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親族関係図 | 対象者を中心に記載。 |
診断書 |
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書類を全て揃えるには手間と時間がかかります。
特に、財産目録は、対象者と取引のある金融機関に照会をしなければなりません。
収支状況は、毎年、確定申告をしている場合なら比較的把握しやすいのですが、そうでない場合は、公的年金の収入、株式の配当金などを預貯金通帳などで調べる必要があります。
親族の同意書を提出できなかった場合には、専門職後見人になる場合もあります。
※例)兄が後見人候補なのに、弟が同意しなかったなど。
申し立てに必要な費用
(東京家庭裁判所の場合)
申立費用 | 収入印紙 800円 ※保佐・補助の代理権付与または同意権付与の申し立てをする場合には各800円を追加。 |
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登記費用 | 収入印紙 2600円 |
切手 | およそ3000~5000円程度 |
鑑定費用 | およそ5~10万円程度 ※実際に鑑定が行われるのは全体の約1割程度。 |
書類作成の段階から専門職の力を借りると更に費用(約10万円)が必要になりますが、手間や時間を考えると決して高くはないとも言えます。
申し立てから業務開始までの流れ
審理の際に行われる申立人や後見人候補者の面接は、申し立てと同日に行われる場合があり、その予約が必要なケースもあります。
※全般に窓口は混んでおり、都市部の家庭裁判所では1ヶ月先を指定されることもあります。
【親の終活】成年後見制度でお金を守る! まとめ
いかがでしたか?
今回は、成年後見制度の中でも判断能力が低下した方たちが利用する「法定後見制度」について解説してきました。
親が認知症などで判断能力が低下してしまったとき、わたしたちにどれだけのことができるでしょうか。少しでも不安があると考えた方は是非、成年後見制度の利用を検討してみてください。