人は誰でも、おしゃれをすると心がウキウキして楽しい気分になるものではないでしょうか。ですが、私の両親のように年齢を重ね体が思うように動かせなくなった方や、車椅子を利用されている方にとっては、以前と同じようなおしゃれをするというわけにはいかない方も多いのではないでしょうか。
散歩好きだった母が外に出たがらなくなったのは、好きな服が着られなくなったせいでした。
簡単に着脱でき、治療時にも便利で、ちょっとおしゃれな服。そんな服があれば、母も心がウキウキして外出したくなると私は考えました。
おしゃれのポイント
シニアの方は体型の変化や身体能力の変化によって着ることができる服に制限が生じることがあります。それに合わせて着やすい服を選ぶことは大切ですが、着る人が着たいと思える服でなければなりません。
まずは、着る人の動作や症状をじっくりと観察し、どこをどうしてあげればもっと楽に着られるかなどを把握しましょう。どんな服を着たいかを聞いておくのもいいですね。
また、介護側の立場だけで考えるのではなく、自分でできることは自分でしようと努力されている方にはそれを手助けするような服選びが重要です。
※問題解決のために新しい服を購入するのもいいですが、元々着ていたものでお気に入りの服がある場合は、少し作り替えて着やすくするのもいいでしょう。
体型の変化
年齢を重ねると、図↓のように体型が変化します。※青が変化前、赤が変化後。
青が真っ直ぐな姿勢なのに対し、赤は前屈みになっていますよね。年齢を重ねた方の多くは背骨が変形することによって、前屈みになりやすくなるのです。
前屈みになることによって、首が前に傾斜したり、背中が丸まったりします。
そのため、既製品を着ると図↓のような問題が起こることがあります。
前屈みの姿勢では、背中側が窮屈になり、Tシャツの後ろが吊り上がって背中が出てしまうことがあるのです。
背中が出てしまうということは、肌着が見えてしまいますし、冷えの心配もあります。
では、どんな対策をすればいいのでしょうか。
背中の丸みは、ヨーク切り替えとタックやギャザーでカバー。※大きめの衿でもカバーできます。
袖口やズボンの裾は引っかけたり踏んづけたりして危ないので、しぼったりしてすっきりすると良いでしょう。
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背中の丸みや腰曲がり体型をカバーする「後ろ長めTシャツ」や、股上が深く腰まですっぽり履ける「腰曲がりズボン」などの商品があります。
身体能力の変化
身体能力に変化が生じると、自分で服を着ることが難しくなります。どうしても無理な場合は手伝ってあげるべきですが、できそうなときはひとりでできるような工夫をしてあげましょう。
服を選ぶ際に、大きめのボタンを使っている服や前開きでファスナーを使った服を選ぶことをおすすめします。
元々持っている服のボタンが小さい場合は、ボタンホールを大きくして大きなボタンに付け替えたり、ボタンとめをマジックテープに替えたりすると着やすくなります。
腕が上がらない場合は、ワイシャツのような前開きタイプの服を選びましょう。※最近は、ファスナーで全開にできるものも増えています。
袖を通す動作も難しい場合は、アームホールや袖口が大きいものを選ぶと良いでしょう。Tシャツなど首を通す服の場合は、襟ぐりが深いものがおすすめです。
お気に入りのジャケットなどがある場合は、背中にファスナーを付けてアームホールを前に回りやすくしたり、袖口にファスナーをつけて広がるようにすると、腕が通しやすくなります。
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→ 掴みやすく開閉しやすいオリジナルファスナーを使用。肩が上がらない方のための「袖開きジャケット」、座ったまま履ける「外脇全開パンツ」など。前開きタイプの服も多くあります。
【おしゃれで着やすい】シニアファッションのポイント まとめ
体型や身体能力の変化は誰にでも起こりえますが、自分自身が変わることは難しいことです。だから服を自分に合わせればいいのです。
私の母もいい服が見つかってからは、以前のように外出するし、以前よりも元気になったようです。最近は母が、妻や娘たちと一緒に散歩に行く姿を見るのが楽しみになっています。