献体という最期 ~死後、人の役に立つために~

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死してなお、せめて人の役に立てたいと思う方へ、医学の発展に役立てるために、自分の死後、遺体を「献体」として登録することができます。
いくつか条件はありますが、このような供養の流れもあるという情報として覚えていると役に立つかもしれません。

死後も人の役に立ちたい人へ

この場合の献体とは、自分が亡くなった際に自身の体を医学生の手術の練習に使ってもらうことを指します。
各大学医学部にある「白菊会」という組織が受付を行っており、献体の後に火葬を行い、その後遺族に返骨するか、遺族がいなければ大学内の墓地や納骨堂に納めてもらうことになっています。

解剖後は大学が供養

手術の練習、解剖の後は大学が供養することになっています。
ただし、解剖のスケージュールの関係上、遺体が大学に搬送されてからは数か月ほど保存する期間があるため、実際に遺体が解剖され、供養されるまでには数か月から数年かかることもあります。
ゆえに、遺族の方のもとへ遺骨がなかなか手元に戻ってこないこともありえます。
※葬儀の費用については自己及び遺族の負担になります。

献体登録の手続き

必要なことはまず身近にある各都道府県の団体、大学に問い合わせて申込書の取り寄せをすることです。
記入する内容は、申し込む団体によって形式が違いますが大抵は自身及び肉親の同意の印が必要となります。

以上のことが滞りなく進むと会員証が発行されます。これは献体登録証とも呼ばれ、不慮の事故に備えて旅行先にも持っていく必要があります。この会員証は登録先の団体名や死亡時の連絡方法が書かれているため、なくさないようにしましょう。

献体における注意点

献体への心構え

献体は、現時点で最もお金のかからない供養法であるのは確かなのですが、あくまでも医学の発展のために募集しているので、心構えとしては、お金の負担よりも誰かのためにと考えて献体の登録をするようにしてください。
※「葬儀代を浮かすため」などの理由は献体制度の趣旨に反しています。

家族に迷惑をかけたくないという理由から献体を希望する方も増えているようですが、家族としては、遺骨が返還される時期が不明であったりするので、逆に混乱させてしまう可能性も大きいので注意が必要です。

遺族からの反対

献体に登録したとしても、遺族の中に反対する人がいれば亡くなった後、実際に献体を行うことができないという事態になってしまうこともあります。

もし、私に献体をしてほしいという意思があったとしても、遺族である親戚のうち一人でも「体にメスを入れてほしくない」などの理由で拒まれてしまうと、大学側としてもその遺族の意思を尊重しなければならないからです。
献体に登録する際には、父母兄弟息子娘といった自分に近しい血縁の人、親戚でも特に反対の声を大きく上げそうな人には、しっかりと自分の意思を伝えておきましょう。

※現在は、親族の同意書をもらってから登録することになります。

献体を断られるケースも

献体登録を行ったとしても、死後献体を断られてしまうケースがあります。

  • 遺骨の引き取り手がいなかったり、献体を遺族に反対されていたりして、必要な手続きができない場合。
  • ご遺体が傷んだ状態にある場合。

※孤独死で発見が遅れた、交通事故などの外傷により亡くなった場合など。

  • 感染症の恐れがある場合。

※B型肝炎、C型肝炎、結核などがあげられます。

  • 臓器提供をした場合。

※人口の多い地域では、献体の登録を制限しているところもあります。

献体という最期 ~死後、人の役に立つために~ まとめ

自分の死後に誰かの役に立てるということは生きるための力を生み出すことにもなります。

「白菊会」のように発足した「不老会」という組織があります。その創立者は愛知用水の父とも言われる人でしたが、愛知用水の工事により犠牲者が出たことで、様々な供養を行ったもののそのときの犠牲者について思い悩み続けていました。
そんな人が献体をすることを決めたとき、やっと報われた気がしたそうです。
それはおそらく、人のために頑張れる人が、自分の全てが役に立てるものであると思えたからなのでしょう。

実際に献体を行うことを決めたことで心が上向きになる人も多くいらっしゃいます。
周りの人との相談してみる話としては良いものなのではないでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

村山豊

年齢:57歳
結婚願望はなく独身。葬儀関係の仕事をしている。
最近流行りの終活についての情報を、ブログに載せると好評だったため、継続して記事を書くようになった。今後も自身の経験も踏まえて発信したいと思っている。